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ピョンチャン冬季オリンピック 1

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2018年3月6日(火)  ピョンチャン冬期オリンピック  1 

 

  早いもので、2/9の開会式で始まった、ピョンチャンオリンピック(Pyeong Chang Olympic)は、2月25日に閉幕して、次回2022年の北京オリンピック(Beijing  Olympic)に引き継がれ、大活躍した日本の選手団は、疾うに帰国している。

もう桃の節句も過ぎ、今日は24節季の啓蟄だが、9日から引き続き開催される、ピョンチャンパラリンピック(Paralympic)に向けて、日本選手団は出発している。

  今回の冬期オリンピックでは、連日、TV等で、日本選手の活躍が繰り返し報道され、楽しませて貰ったが、日本は、前回のソチ五輪の5個、長野五輪の10個をも上回る、過去最多の13個のメダルを獲得した。この中、スケート競技が、大きな比重を占めており、幾つかの感動的な場面があったことで、本稿では、スケート競技について取り上げることとしたい。

  

◇スピード系(短距離、長距離、パシュート)

 事前から、スピードスケートの短距離では、金メダルが確実と言われていた小平奈緒選手の活躍はすばらしい。 素顔が可愛いが、防護メガネの奥に、きりっとした目が光る。

彼女は、ソチでは成績が振るわず、この悔しさをバネに、本場のオランダに自ら留学し、 体重を氷に伝えて反発力を増すフォームを身に付けるなど、基本から見直したようだ。その結果、ピョンチャンのスピードスケートでは、予想通り、見事に、

    500m金  1000m銀

と、初の金を獲得し、選手団の主将の役にふさわしい結果を残している。 一頃、話題となった、男子500mの清水宏康選手を思い起こさせる。

  500mのレース終了直後、小平選手は、地元で敗れて2位となって涙に暮れる韓国の李相花(イ・サンファ)選手に近寄り、労わる姿が、極めて印象的で、二人揃ってリンクを回っている。  李選手は、ソチの金メダリストで、小平選手が、これまで目標としてきた、尊敬する好敵手だけに、競技者としての感謝と共感があったのだろうか。  (本稿の画像は、全てネットより)

        

 一方、パシュートの中心として引っ張る高木妹は、

      パシュート: 金 

      スピード : 1500m銀 1000m銅

と、三色のメダルを獲得している。

 パシュートは、pursuit(追跡)からきていて、「団体追い抜き」と呼ばれる。 3人一組のチーム競技で、2チームが、分かりやすいように相互に対向するリンクの位置からスタートし、女子では6周して、最後尾の選手がスタート地点に戻った時の時間差で勝敗を決める。

日本チームは、4人でチームを構成し、高木姉妹に加え、準決勝のカナダ戦で菊池、対オランダの決勝戦では佐藤選手が入ってチームを構成した。3人目を誰にするかの作戦があったようだ。

  決勝に残ったオランダチームは、全員がメダリスト、という強豪ぞろいだが、日本チームのメダリストは、高木妹だけだったが、国際大会では3連勝という実績があった。

この日本チームだが、スタート当初はリードしたものの、途中で追いあげられ、3周目で逆転され、4周目で差が広がった時は、やはりだめか、とも思った。 が、最後に高木妹が先頭になり、残り1周の時点でリードを奪い、一糸乱れぬチームワークで、オランダチームに、1.5秒もの大差をつけて、五輪新で勝ち、金メダルを獲得したのである。(下図   後方はオランダチーム)

                   菊池          佐藤               高木姉    高木妹 

 この競技では、個々人の能力を、単純に足し合わせただけではないものがあったと言える点が面白い。解説等によれば、日本チームが勝てた要因は、以下の様だと言う。

・3人の左右の手足の動きを、時間をおかず、先頭者にぴったりと揃える。

 これで後続走者の受ける空気抵抗が可成り違うようだ。

・先頭を交代する時、先頭者がやや膨らんで最後尾に戻ってくることで本隊のスピードロスがない。先頭者が、直ぐ横に出て戻るやり方は、  

 どうしてもスピードロスが出る。

・準決勝では、決勝で主力となる選手の体力を温存し、決勝では、背の高い選手が風よけになったという。

 

 一方、パシュートでは、妹の陰に隠れて、余り目立たなかった高木姉だが、彼女は、

     パシュート 金

に加えて、予想外だったが、

     マススタート 金

と、金が2個となった。

 今回から登場したマススタートは、ケイリン的な要素を加えた競技で、大勢で駆け引きをしながら、リンクを16周する。この種目の決勝で、首位に立っていたオランダ選手が、最終周でのコーナリングを失敗して大きく膨らんだため(高木姉が押し出したわけではない)、2位だった高木選手が咄嗟に内側から追い抜いたものだ。状況に応じた素早い判断での動作の賜物だろう。

 

◇フィギュア系

 男子フィギュアでは、前回のソチで金を取った羽生結弦選手の連覇が期待されていたのだが、周知のように、昨年11月、公式練習のリンク上で、ジャンプで失敗して転倒し、右足関節損傷で、滑れなくなってしまったのである。以降、本人は、アメリカで、治療とリハビリを重ねたようで、本番間近になってピョンチャンに戻ってきた。団体戦は欠場し代わりに田中刑事選手が出ている。羽生選手の怪我の具合はどうなのだろうか、無事に滑れるのだろうか、練習はしているのだろうか、ぎりぎりまで不安は消えなかった。

そして、本番のシングルのショートを無事こなし、フリーも、多少の不安定さはあったものの、素晴らしい演技を見せてくれたのである!

 本人の言葉や解説によれば、難しい技は無理に使わず、自身の持てる技を中心に演技し、出来栄え点を多くする作戦をとったという。これが功を奏し、見事、金メダルを獲得した。フィギュアでの連覇は、66年ぶりの快挙という。

  一方、宇野昌磨選手の活躍も注目される。エース羽生の想定外の怪我が、自分がしっかりしなければ、という宇野の自覚を促し、彼を成長させたのではないか。 羽生には及ばなかったものの、堂々とした演技で、銀メダルを獲得したのである。 

宇野は、世界で初めて、公式競技で、4回転ジャンプのフリップを成功させたと言われ、今大会では、難しいシークエンス技と言われる、床面すれすれの「クリムキン・イーグル」を、自身のトレードマーク然と、易々とやってのけた。トリノで金メダルを取った、荒川静香選手の「イナバウアー」と同類の技だ。 

                   銀 宇野          金 羽生  銅 フェルナンデス

 フギュアスケートのジャンプでは、回転数によって、

     1回転 シングル 

     2     ダブル

     3     トゥリプル

     4     クァアドゥルプル(クワド)

の様に呼ばれるが、いまや、男子では、4回転が、女子では3回転が普通になっている。回転数は、素人目には分かりにくく、スローで視ると漸く分かるのだ。

ISF(国際スケート連盟)では、下図のように、6種のジャンプと、難易度に応じて、それぞれの基礎点を定めているようだ。 

        

  ジャンプの種類では、アクセル以外の5種は、後ろ向きから入り、アクセルだけ、前向きから入るという。   筆者には良く把握出来ないのだが、滑ってくる足、踏み切る足、等が決まっているようだ。

  そして、技の難易度に応じて、審判の基礎点が決められている。

      名称: トーループ→サルコウ→ループ→フリップ→ルッツ→アクセル

      略号: T          S        Lo      F      Lz     A 

      難易: 易                                       難

  難易度が低い、トーループやサルコウは、いまや、多数の成功者がおり、難度の高い、ループは羽生、フリップは宇野、ルッツは金(中国)の各選手等が、成功していると言われる。

最高難易度のアクセルは、表にあるように、実際は、4回転半(スノボー流では、1440+180=1620度)だが、公式に成功した例はないようだ。羽生選手は、これをマスターすることを目標にする、と以前から公言している。

  

 次稿では、カーリングを取り上げることとしたい。


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