Quantcast
Channel: つれづれの記
Viewing all articles
Browse latest Browse all 865

珍しい植物 1   アルソミトラ

$
0
0

2016年7月7日(木) 珍しい植物 1  アルソミトラ

  

  この地球上には、数多くの珍しい動植物があるが、それらの中で、筆者が、これまで特に興味を覚えた幾つかの植物達について、取りあげていきたい。

本稿は、空を飛ぶ種の話題である。 

 

 製粉業大手の、ニップン(日本製粉)のTVコマーシャルで、下図にあるように、翼のついた種が、空中を飛翔する様子に、興味を魅かれた。 このコマーシャルの提供元である、NIPPN のサイトを調べて、飛んでいるのは、“アルソミトラ”という植物の種である事が分った。(NIPPNの企業CM「翼の種子アルソミトラ」

  

 この植物、正式名称は、アルソミトラ・マカルカルパ(Alsomitra Macarcarpa)と言い、通称、アルソミトラと呼ばれるようだ。 どこか、回文風のユニークな語感があり、アルソミラなどと間違えやすい。和名は、ヒョウタンカズラ、ハネフクベ、ガンドウカズラとも言われる。

 

 熱帯アジア地域(インドネシア・スンダ列島など)に自生する、ウリ科の蔓性の木本で、木に巻きついて、這い登って行くようだ。

大きい丸い実(直径20~30cm程)を付けるのが特徴で、青い実が成長し、熟すと茶色に変わって硬くなり、実の下部が自然に割れるという。 そこから、ひとりでに、グライダー形の大きな羽根のついた種が、飛び出して行くようだ。TVコマーシャルは、この様子を写したものである。

 

 一体、どんな植物だろうかと、ネットで調べ、以下に写真等を集めて見た。 (ネット画像より)

  

              這い登った蔓(実は何処かな?)                                             ↑ ぶら下がった実 

 

 実の中には、翼のついた種が、4~500枚もぎっしりと、折り重なって詰まっているという。            

       

                    収穫した実(種がぎっしり)                                                 翼の付いた種

 

  通常、植物の種は、根元に落下するが、アルソミトラは、ひらひらと、可なり遠くまで飛んで、状況によっては、1km先までにも達することがあるという。

 

 企業のサイトには、このコマーシャルに込めた思いが、下図のように書かれている。

アルソミトラの種が、空中を自由に飛んでいく「力強さ」と「しなやかさ」とに、世界に向けて挑戦する、企業の未来の姿をイメージしているようだ。

      

 

 日本国内では、アルソミトラの実や種の人気が高いようで、市販されているようだ。

       実   15万円程/個   空の実も、1万5千円程/個

       種   500円~1000円/枚 

アルソミトラ(丸実A) - 軽井沢  ジャムこばやし ロシア人直伝のジャム

 

  筆者も、種を取り寄せて、育てて見たいものだが、環境的に、実が生るのは無理だろう。

育成している熱帯植物園もあるようなので、機会があれば行ってみたいものだ。(板橋区立 熱帯環境植物館

 

 博物館等では、アルソミトラの種の形をした、空を飛ばす工作物も人気があるようだ。

 20世紀初頭、グライダー状の翼のついたアルソミトラの種をヒントにした、飛行体が研究され、エトリッヒ父子が、これに尾翼を付加して、タウベ型飛行機へと発展させたと言う。 (タウベ (航空機) - Wikipedia

    タウベ航空機

  生物の機能を真似する、生物学、化学、工学等の分野を、バイオミメティックス(Biomimetics 生物模倣技術)と呼ぶようだ。言う迄もなく、歴史上では、この関連の数々の発明があり、本件の航空機もそうだが、カイコの絹糸を模倣した人絹などもその一つだろう。 

 筆者が以前やった事がある、空を飛ぶハンググライダーの翼型は、アルソミトラの種の形に似ており、ヒントを得ているかも知れない。

 自然界の動植物は、人間社会のお手本足り得るようで、バイオミメティックスは、先端技術と組み合わせた、現代のフロンティアの一つと言えるであろうか。 (「バイオミメティクス(生物模倣)」  生物から学ぶ先端技術。製品開発に応用。)       

 先日、たまたま観たあるTVで、ハスの葉の撥水性からヒントを得て、新しい布地を作った話が紹介されていた。

 

○ 空を飛ぶ種たち

  アルソミトラの他にも、以下のように、空を飛ぶ種たちがある。

 

◇タンポポ

 空中を飛んでいく種で、ごくごく身近なのは、タンポポである。 花が終わってしばらくすると、冠毛が付いた多くの種が球状になっていて、そこから次々と、自由に空中へと旅立って行く。

この歳になっても、この綿帽子を手に取って、吹き飛ばして遊びたくなることだ。

    旅立ち前

    

◇フウセントウワタ

 ガガイモ科の植物も、ユニークな実を付けるようで、以前、植えた事がある、フウセントウワタも、その仲間である。

花後に、異様な風船状の実が付き、次第に大きく膨れて来て、熟すと、下図のように、袋の中に詰まっていた、綿毛付いた沢山の種子が、割れて飛び出していくのである。(ネット画像より)

   フウセントウワタの袋が割れた!

 

◇翼果

  翼状のものが付いた実を、翼果と呼ぶようで、代表的なものは、カエデである。学問的には、種の周りの果皮が、翼のように変形したものだという。(翼果 - Wikipedia

    カエデの翼果 

 この流儀の呼称では、上述のタンポポの種は、難しくは、痩果(そうか)と呼ぶようだ。この場合、果実=種子となるため、用語としては、果実と種子の区別は無いだろうか。

 先述のアルソミトラや、フウセントウワタでは、(果)実と、種(子)、との区別は明確である。 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 865

Latest Images

Trending Articles