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野球での二刀流   2

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2016年6月15日(水) 野球での二刀流  2

  

 先日、野球に関して

     野球での二刀流   1  (2016/6/10)

 を投稿し、DH制(指名打者制)と二刀流の現状等について、取り上げたところだ。

  本稿は、その続編で、DH制の特徴、二刀流の実際等について触れることとしたい。

 

 

◇ DH制の特徴

* 投手への、打者としての期待度

  DHを置かない(非DH制)試合では、投手は、通常、交代せずに打席に立つ義務があるものの、その打撃は殆ど期待されておらず、打順は、通常は、打席回数が少ない9番等が多い。

 打順が来れば、投手リレー上、そう頻繁にも代われず打席に立つものの、本人の打ち気も余りなく、凡打が多く、バントしたり、三振することもある。たまたま、ヒットやホームランを打つと、想定外の儲けものをしたように、大きな話題となる。 チャンスの場面では、その投手に代わって、代打(PH)が出されることも多い

  投手が打席に立つ場面は、大方、アウトカウントが1つ増えるだけで、見ていて面白くは無い。

歴代の投手の通算打撃成績を見ると、打率の良い選手でも、2割5分程度だ。(歴代 通算記録

 

 

* DH制で、試合は面白くなったか?

 このような、打てない投手の問題を解消し、試合の面白さを高め、野球人気を盛り上げることを狙って、前稿にあるように、DH制が、MLBで始められたようで、NPBもそれに倣っている。 

DH制の試合では、投手、打者の役割を分業化し、それぞれに有能な選手を充てることとなる。 DH制が行われている、NPBのパ・リーグの試合では、通常は、投手は打席に立たず、代わって、DHが打っている。 

このDH制の導入で、どれ程、野球は面白くなっただろうか、集客効果が上がっただろうか?

 

* 二刀流への期待

 投手と打者の役割を分業し、それぞれを、2人2役で受け持つのがDH制だが、これに対して、この流れに逆らって、元に戻すかのように、2013年から、NPBで現れて来たのが、1人2役となる二刀流であろうか。

従来の非DH制での投手(一刀流)と、二刀流での投手とは、形の上では、なんら変わらないのだが、二刀流の選手は、1人2役をこなし、投手としてだけでなく、打者としても、大いに期待される所が大違いなのである。

 二刀流は、見ている観客にとって、大きな魅力なのである。 野球ファンの、英雄願望、スパーマンへの期待の表われでもあろうか。

 

*選択肢が増えた!

 DH制についての、NPBでのシステム的な変遷でみると、以下のようだ。

  

   非DH制→非DH制(セ・リーグ) →一刀流 ◎

                         →二刀流 ×(実施しているチームは無い)

        →DH制 (パ・リーグ)  →一刀流 ◎

                        →二刀流 ○(日本ハム 大谷選手のみ) 

 此処に至って、バリエーションとして、DH制下の試合でも(さらには非DH制下の試合でも)、投手が、投手で無くDHで出たり、野手で守って打ったりする(準二刀流)事例が出て来たが、この様な選手起用については、特別な規制はないようだ。

更には、同じ試合で、投手で出て、打席に立つことも出来る(リアル二刀流)事例も、出てきた訳だ。この場合、DH制下では、DHを解除しDHを置かないという、リアル二刀流となるが、非DH制下では、そのまま、リアル二刀流である、とも言える。

 非DH制・DH制、準二刀流・リアル二刀流と、多様なパターンが出て来ていて、選択肢が増えたのだ。

二刀流については、日本の1リーグ時代に、関根順三選手、西沢道夫選手などが、経験した前例はあるようだ。

 

 

◇二刀流の実際

*試合状況とスケジュール

 5月末から今月中旬にかけての、日本ハムの大谷選手のスケジュールは下図のようだ。出場する試合(DH、投手、代打等)と、休養・調整のスケジュールが組み合わされている。

 (ネット情報より)

 昨年までの準二刀流に加えて、今季になって遂に、図にあるように、下記で、リアル二刀流が行われている。

     5月29日 日本ハム―楽天戦   DH制  ビジタ-     

     6月 5日、日本ハム―巨人戦  非DH制 ビジター

これらについては、すでに、前稿で取り上げているので、詳細は省略する。

 

 そして、先日の札幌ドームでの交流戦、

     6月12日 阪神―日本ハム戦 DH制  ホーム

で、3度目のリアル二刀流が実現している。 試合の概況を、末尾の「別記」に示す。

 更に、図にあるように、交流戦の最後の

     6月19日 日本ハム―中日戦 非DH制 ビジター

で、またまた、大谷選手は、リアル二刀流で登板予定のようだ。 

 

*二刀流の当人からみたら

 非DH制では、投手を含めて、イニング毎に攻守が交代するので、リズムがあり、攻めの時は、適度の休憩時間も得られる。

これに対して、DH制では、攻めのイニングの時の投手/守りのイニングの時のDHは、休みのイニングができることとなる。やる当人から見たら、楽な面と、やりづらい面があるだろうか。

 一方、DH制/非DH制に関わらずに、1人2役をこなす、リアル二刀流の試合となると、当人は、可なり忙しく、しんどいだろうか。

 

 又、試合が無い時間の過ごし方は、どうだろうか。

 非DH制の場合は、先発投手は、中4日、5日程のローテーションで、登板があるが、大谷選手の場合、スケジュール表では、登板前の2日間は、投手として調整とある。 

 投手としての休養や、野手としての調整も必要で、当人の負担や、身体状況を見ながら、どの様な準備やトレーニングを行うか、難しさもあると思われる。

  

*二刀流が広がらない!

 先述のように、NPBでの、DH制のシステム的な変遷でみると、二刀流は、2013年以降から現在まで、パリーグの1球団の、1選手だけが対象となって、限定的に行われているだけで、広がる気配はない。

 来月のオールスター戦は、2試合とも、DHルールで行われるとあるが、オールスターのファン投票の中間発表では、大谷選手は、投手として人気が高いが、DHとしても名前が出ているようだ。(マツダオールスターゲーム2016 | NPB.jp 日本野球機構

オールスター後、通常シーズンに戻ってからの大谷選手の二刀流は、どうなるだろうか。

 

 再度言えば、二刀流は、何も、DH制のあるパ・リーグの試合に限った事では無く、非DH制のセ・リーグの試合でも、勿論、できる。 現在進行中の、セ・リーグとの交流戦でも、これまでの、

     日本ハムー巨人戦

     日本ハムー阪神戦

では、セのルールに従って、セの公式戦と全く同様に、行われていることだ。

 

 この流れで、二刀流を行うチームとして、2チーム目、3チーム目が現れ、又、後継者として、2人目、3人目の選手が出て来てほしいものだが、どうして流行らないのだろうか?

 下記の様な、幾つかの理由が考えられる(順不動):                                        

    ・難しすぎて、投打の能力のある選手が極めて少ない

    ・二刀流としての評価基準が定まっていない 

    ・実践データの蓄積が不十分

    ・選手生命を考えた長期的な選手育成法が見えない

    ・識者からも、二刀流には問題が多いと懸念する意見も多い

    ・NPBが見倣ってきたMLBで流行っていない!

    

 

「別記」 TV観戦した試合の概況

   (大谷163km連発 (2016年6月13日(月) - Yahoo!ニュース) 

 6月12日 日本ハム 6-0 阪神戦  日本ハムの2勝1敗で終了

  大谷選手の活躍:

    投手 勝利投手(通算5勝4敗)

        1~7回登板(8回から交代)失点0 奪三振8 

        自己の持つNPB最速記録163km/sのタイ記録を、5回も連発

    打者 5番投手で出場(交流戦初のDH解除)

        3打数0安打(四球1 フライアウト2)

    打者としては振るわず、投手としての活躍ばかりが目立った。 

 

 次稿では、二刀流の評価尺度や、スポーツでの複合競技等について触れ、シリーズを締めくくることとしたい。


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