2014年11月3日(月) 御嶽山の噴火 5 阿蘇山
御嶽山の噴火シリーズとして、本稿では、阿蘇山である。
阿蘇山は、古来より、火の国と言われた肥後国(熊本県)のシンボル的存在で、我が国の、現在進行形で活動中の活火山では、リーダー的存在だろう。
地質時代には、4回も巨大噴火があったようだが、有史以降では大きな噴火はないようだ。
前稿の富士山は、秀麗な独立峰で、典型的な成層火山である。一方、阿蘇山は、火山の種類の一つで、マグマの噴出後、陥没して出来たと言われるカルデラ火山で、世界的に有名だ。
◇阿蘇カルデラは、下図にあるように、中央部に火口丘群として阿蘇五岳(高岳、中岳、杵島岳、根子岳、烏帽子岳)があり、その中の中岳は、現在も活動中だ。外輪山を含めた規模が、南北25km、東西18kmと大きく、外輪山の内側には、道路や鉄道が走り、阿蘇市など、5万人もの人達がここで生活を営んでいるという、極めて珍しいケースだろう。 ここ40年近くは、噴火による死傷者は出ていないようだ。(阿蘇山 - Wikipedia 等より)
阿蘇カルデラの空撮(2014年5月)
阿蘇カルデラの規模と外輪山
現代は、航空機や宇宙空間から、立体的に地上・地球を俯瞰できるので、地形がよく分るのだが、一昔前までは、容易ではなかった筈で、そんな中で、カルデラを“発見”したと言うのは敬服に値することだ。
自分の体験で阿蘇山を訪れたのは、2度だろうか。現役時代、仕事で出張した時に、地元の人に案内して貰ったもので、登山の装備でなく、背広姿・皮靴履の軽装である。
一度は、運良く、活動が安定していた時で、火口まで上り、噴煙を間近で見ることが出来た。山頂近くにある、コンクリート造りの避難壕にも入ったりした。
もう一度は、運悪く、活発な活動期で、危険性が高いことから、登山が規制されて、上には上がれなかったので、周辺の、草千里の風景等を見せて貰った。広大な草原に、赤い牛がのんびりと放牧されている牧歌的な光景が、今も目に浮かぶようだ。
お土産に買ったのは、勿論、馬肉を干した、「けとばし」である。
草千里と赤牛(ネット画像)
実際に、阿蘇の現地に行って、車で地上を走った印象では、遠くに見える外輪山を含めた全体の地形がカルデラ火山を形成している、と想定するのは、ほぼ不可能に近いだろう。
◇カルデラ(caldera)の名前は、「鍋」「釜」という意味の、スペイン語から来たようだ。ドイツの地質学者ブッフが、200年程前、スペイン領カナリア諸島のパルマ火山の地形を調査・研究し、鍋底に似た地形に現地住民が付けていた呼称から、火山の形を、「カルデラ」と名付けたという。(【箱根カルデラ】 / 箱根のディープな情報 箱ペディア )
アフリカ西岸沖のこの火山について、ネット時代の現在、居ながらにして、Google地図で調べることが出来ることは驚きだが、パルマ火山は、下図の様な地形のようだ。
やや見にくいが、中央に、カルデラ・デ・カブリエンテ国立公園の名称が読みとれる。
パルマ火山のカルデラ地形(カナリア諸島 ラ・パルマ島)
専門的に見た時、日本には、数多くのカルデラがあるようだ。
規模の大きさでは、屈斜路カルデラが、日本で最大と言われるが、ここは、主要部分が湖のため、一般的には、自然の景観という印象だろうか。 阿蘇カルデラは、それに続く、No.2であり、現在、湖はないが、古い時代に湖底だった地層があるという。
一方、芦の湖、十和田湖、支笏湖や、榛名湖の周辺なども、カルデラ地形と言われる。 (日本の主要カルデラ)
阿蘇山は、巨大噴火の歴史と生きた火口を体感できる、地球自然の教材として、「阿蘇ジオパーク」として国内で認定されているが、今年、世界ジオパークにも登録されたようだ。(ジオパーク - Wikipedia)