2017年9月29日(金) タバコの今―最近のタバコと税金
これまで、当ブログで、
タバコの今―受動喫煙防止条例制定へ (2017/9/17)
タバコの今―世界のスモークフリー (2017/9/21)
について取り上げた。 本稿は、これらの続編で、最近のタバコ事情について触れ、シリーズを締めくくることとしたい。
○ 電子タバコの登場
歴史の長い紙巻きタバコ(cigarette)に代わって、最近は、電子タバコ(eーcigarette)が登場し、欧米を中心に、結構な人気のようだ。
紙巻きたばこは、タバコの葉に火をつけて燃やすものだが、電子タバコは、燃やさずに電熱器で加熱するものだ。タバコの葉を直接加熱し、そこから出る香気を吸うもの(初期の電子タバコ)や、熱い水蒸気をタバコの葉の間を通し、その蒸気を吸うもの(液体型)など、各種あるようだ。
英国では、いまや下図のように、これまでの
smoke(煙、煙を出す)⇒smoking(喫煙)
に加えて、電子タバコの
vape(蒸気、蒸気を出す)⇒vaping (喫蒸? 吸気?)
という言葉も定着しているという。
○ 日本の電子タバコ
国内で、JTが2013年に発売した電子タバコ「プルーム」は、カートリッジ内のタバコ葉を加熱する製品だ。2016年には、この後継製品である、「プルーム・テック」を、通販と一部地域で発売したが、こちらは、液体式で、加熱した液体から出る蒸気を、タバコ葉のカプセル中を通過させる方式という。品切れ状態が続く人気のようだ。
2015年に、フィリップモリス社が、タバコ葉を加熱する製品「iQOS」を発売。 こちらも、人気が急増し、入手が困難な状況という。 奇妙な名称は、
“I Quit Ordinary Smoking。”(通常の喫煙を止めた)
から来ているとも言われる。(iQOS(アイコス)の名前の由来は?)
2016年12月には、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)も加熱式タバコを、仙台限定で販売しているようだ。
電子タバコ用の喫煙器具の日本国内での入手方法だが、ネット通販が多いようだが、価格は、iQOSの場合、喫煙用器具一式(パイプなど)が、10980円で、吸うたびに取り替え装着する専用葉タバコ(ヒートスティック)は、20本入りで460円という。(コンビニでも買えるiQOS(アイコス)の値段・価格は?購入方法は? )
上 従来の紙巻きタバコ
中 専用ヒートスティック
下 iQOS専用パイプ
電子タバコの市場規模は、日本ではまだ小さいようだ(全体の10%程度)が、先行して急成長している欧米では
2014年 約35億ドル (約3500億円)
うち、米国が約半分
EUが約10億ドル(うち、英国が約3億ドル)
という。
2017年には、世界の市場規模は、約100億ドル(約1兆円)との予測もあり、2047年には、電子タバコ市場が、既存のタバコ市場を上回るとの予測もある。(以上 電子たばこ - Wikipedia など)
電子タバコの特徴だが、電子タバコを吸う時の煙や蒸気の中味には、紙巻きたばこの燃焼で発生し発ガン物質と言われるタール成分が無く、タバコ本来の、麻薬的なニコチンだけという。このことから、欧米の医療機関では、患者の禁煙治療を始める時は、電子タバコを勧めるようだ。でも、他人に迷惑を掛けないという受動喫煙防止の観点からは、電子タバコも、規制の対象であるのは、勿論である。
○ タバコと税
嗜好品であるタバコは、アルコールとともに、課税の対象とされてきている。 現在の我が国では、紙巻きたばこの場合、販売価格440円のメビウスの例では、消費税を含めた税金総額は、277.47円となるようだ。
内訳 国タバコ税、地方タバコ税、タバコ特別税、
消費税(32.59円(税率 7.4%))
したがって、販売価格に占める税率は、63.1%となる。(たばこ税 - Wikipedia 参照)
国の税制論議では、折に触れ、課税・徴収がしやすいタバコ税(酒税も)が話題に上がってきた。タバコの消費が大幅に減ってきている中で、最近の電子タバコが目を付けられ、紙巻きタバコ並みに税率を上げるべきとの論議も出ているようだ。
喫煙や、受動喫煙が、体に悪いのならば、いっそのこと、タバコには高い税金を課し、禁止的な値段(3~4千円/20本)にし、需要・喫煙を抑えるべき、という過激な意見もある。
東京都の受動喫煙防止条例制定の行方や、今後の国際競技大会開催に向けての国内の規制状況がどうなるのか注目したい。